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大前茜

誰にだってあると思うんだ。青春時代の甘酸っぱい幻想。例えば、夢は必ず叶うものだとかさ、「裏切られる」なんてことは絶対にないとかさ。でも、思うんだ。そういう幻想が一つ一つ壊されていく。望んでいたこととは裏腹な真実が世界を支配している。そういうの幻滅の積み重ねでひとは世界の有様を理解してく、大人になってく、って。

軍団にとってそういう経験の一欠けらが「大前茜」な訳です。
奴と出会うまでは「声優は顔じゃないよ」という幻想をにわかに信じていた。そういう時もあった。

奴とのファーストコンタクトは当然のことながらネギま!。ネギまのイベントDVDに声優の30秒紹介があるんだけど、その中で明らかに異質な奴がいるんですよ。なんというか直視できない。それが大前。

2ちゃんにはさ「君は大前茜に耐えることが出来るか!?」というスレがたってるしさ。まぁ、いくら声優は顔じゃないという論理を振りかざしても無理なもんは無理なんですよ…。

いままでアニメを見てきて声優のせいで、そのキャラそのものを嫌いになったって経験はなかったものだから、もはや生理的に椎名桜子を受け付けなくなっている自分を知ってそりゃ唖然としたさ。アニメだけじゃなくて、漫画読んでても桜小が出てくるとなんか目を背けるんだよ。もう……限界だよ…。

神はおっしゃった「なんか、こんな人がクラスにいたら確実に『四天王』て呼ばれる人だよね。」と。全くそのとおりだと思った。その後もネギまの数々のイベントに大前は参戦。大前のチアリーダー姿とかもはや、ダメージ限界突破としか思えない。一体どんな人間が大前のファンになるのだろう…。顔出してなんぼのネギま声優において大前は明らかに人選を誤ったとしかいいようがない。

大麻帆良祭では「大前〜、限界だ〜〜!!」と叫ぼうとも思ったが、本物を目の前にしてしまうと人間、なにも出来ないものなのだなと。大前を通じて人生の辛酸、悲哀、空虚、無力、限界、あらゆるものを学んだ気がします。ある意味これ以上の社会勉強は無かったのかもしれない。それが良い経験だったのかどうかは別として。

最後に今まで誰にも言えなかった大前にまつわる秘密を一つ話して終わりにしたいと思います。
私が小学生のとき、クラスでいじめられてる女子がいた。理由は太っていて、ブサイクだからだ。そのうえ図々しい。かく言う私も彼女のことを快く思っていなかった人間の一人だ。
ある日の席替えで私は彼女と隣の席になってしまった。そこからが辛い経験の始まりだった。毎テスト時間ごとに彼女はテストをカンニングしてくる。「ちょっと、見せてよね!」と強引にされたこともあった。そりゃ、私も子どもでしたから正直、どこか遠くにでも引っ越しちまえよ!とか思ったりもした。
それから1,2年後、彼女は引っ越した。噂ではいじめが原因だったと言う。もう察しがついているかもしれないが、彼女の名前は「あかね」という。実は大前の顔を見るたび「誰かに似ている」と思っていたが、このことに気づいたのは大前を見てから少したってからだった。
だから、もしかしたら、大前は、あるいは…。信じる信じないは自由ですが、この私の経験自体は実話です、あぁ、はい…。

 

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